ドミノ倒しのように歯が壊れていく

これは以前治療した患者さんですが、決して特別な症例ではありません。どなたにも起こりうることなので他人事と考えず最後までお付き合い下さい。

上の写真をご覧下さい。当院の初診時のレントゲン写真です。(写真は相手と向かい合っているようになりますので、写真の左側がご本人の右側に当たります。)

右側下にブリッジを入れていたのですが、歯が割れて抜かならなかったようで、まだ抜いた跡が完全に治っていない様子がよくわかります。左上にはのう胞といって膿の袋ができています。

患者さんのご希望は、インプラントでした。年齢も50台ですので入れ歯入れたく無いとのことでした。

右の一番奥は、抜いて間もなく骨が十分固まっていなかったために、インプラントを入れることができず、手前の1本だけインプラントを入れました。

インプラント手術をした後は、その周囲でしばらく噛むことができません、

2ヶ月ほどするとインプラントの周囲の骨がしっかりとしてきますので、インプラントの上に仮歯を入れて1本分だけ噛めるようになりました。

しかし、患者さんから「左上が急に痛くなった。」との訴えがありレントゲン写真を撮ってみると、左上の歯が2本割れていました。

原因は、歯を抜いたり、インプラントを入れたりして数ヶ月間はほとんど左側で噛んでいた為、歯に過剰な力がかかり割れてしまったようです。

歯にヒビが入ったり、割れてしまった場合は、割れ目に沿ってどんどん骨が溶けてしまう為、できるだけ早く抜歯する必要があるのですが、上のような状態で、患者さんから「先生、左側抜いたら噛むところがなくなってしまうのでしばらくこのままにして下さい。」と頼まれ、私としても首を縦に振るしかありませんでした。

それでも、右側に1本インプラントの仮歯が入ったので、代わりに左上を1本抜かせてもらい、右下に2本目のインプラントを入れました。

この時点では、まだ左側を中心食事をされていたそうです。

ちょっと一安心ですね。

さあ、いよいよ右下にセラミックの歯が入りました。切れで右側で不自由なくお食事ができるようになりました。左上にも3本目のインプラントを入れ、もう1本の割れた歯を抜きました。

しかし、レントゲンをよく見てみると左側を酷使していた為か、ブリッジの下に虫歯ができて怪しくなっています。

ブリッジを支えている2本の歯にはかなり深い虫歯が認められましたが、なんとか1本の歯として治しました。ただレントゲンを見ると骨のレベルより下まで土台が入っていることがわかります。

当然この状況でブリッジの作り直しは危険ですので、真ん中にインプラントを入れました。

左上のいくに入れたインプラントもようやく仮歯まで漕ぎ着けています。そして割れてしまった左上のもう1本のところへ5本目のインプラントを入れています。

ところが、またしても患者さんが急に歯が痛くなったという訴えがあり、右下の奥から3番目の歯が割れていることがわかり、抜歯することになってしまいました。もう、患者さんは悲鳴をあげています。

そして、とうとう右下の3番目にインプラントを入れご覧のような状態に落ち着きました。

しかし、私の診断では左側の上下2本に破折のリスクがあると説明していました。

するとすぐに左下の奥から4番目が一部破折を認め作り直しとなりました。

しばらく問題なかったのですが、前の写真から3年後、ブリッジの土台だった歯の被せ物が外れてきました。虫歯が深かった為被せ物を十分グリップできていなかったのです。そこで、今回は上の写真のようにワイヤーをかけてゴムで引っ張り出し、歯に十分なグリップをさせてセラミックを被せ直しました。

すると今度は、前回と同じようにブリッジの土台だった歯に被せたものが外れてきて作り直しをすることになりました。

ここで振り返ってみましょう。最初に来院された時に失っていた右下に加え赤い部分が治療途中でどんどん壊れていった歯です。

よく見て下さい。共通点があるのがお分かりいただけますか?

そう、やり直した歯は全て神経を取った歯で、そのうち割れてしまったのは長い金属の心棒が入ったものです。