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インプラントにまつわる最近のトピック 

   

8月8日・9日とインプラントのフォーラムに参加してきました。メーカー主催のフォーラムだったので、最初はあまり気が進まなかったのですが、まあ一度は出てみようと思い参加してきました。ところが、これが意外に充実した内容でとても勉強になりました。参加者も2500名近かったと聞き驚きです。

この時期暑いし、お盆休み前でとても学会に人が集まる要素はないのですが、一つのメーカーのフォーラムにこれだけの人が集まったのには驚きました。それもそのはず、スピーカー達の人選や内容がすばらしく、これだけの人が集まるのも納得です。

ここで少し現在のインプラントの流れをご紹介しましょう。今インプラントは二つの方向性があります。一つは時間やコストを掛けてでも骨移植や軟組織の移植を行ってできるだけ天然歯と遜色のない状態に持っていく流れと、できるだけ手術による侵襲(ダメージ)を避け時間とコストを少なくして機能回復を図る流れです。

前者は審美領域などに応用され、高度な骨移植術や軟組織形成術が要求されます。

後者は、抜歯即時埋入(歯を抜いてインプラントを入れるまでに通常数ヶ月待つが、それを歯を抜くのと同時にインプラントを入れること)や即時負荷(インプラントを入れたら通常数ヶ月待ってから負荷をかけるが、インプラントを入れた直後に負荷をかけること)、フラップレスサージェリー(粘膜を切らずにインプラントを入れること)、ガイデットサージェリー(コンピューターでシミュレーションした通りにインプラントを入れるようなドリルガイドを製作し、インプラントを入れること)などを応用して、できるだけ患者さんの負担を軽減して機能回復を図ります。

どちらもインプラント治療ですが、考え方は対極にあります。どちらの考えでインプラントを入れるかは患者さんの希望によりますが、術者としてはすべてご技術を持ち合わせ、患者さんのニーズに応えられるようにしておかなければなりません。インプラントについては本当に日進月歩で、勉強をしていないとあっという間に遅れてしまいます。

さて、今回の主催メーカーのテーマですが、すぐ咬めるようになる即時加重、腫れない痛くないガイデットサージェリー、適合精度抜群のCAD/CAM上部構造だったのですが、スピーカー達の強いメッセージとしてインプラントのメインテナンスの重要性が至る所で出てきた学会だったように思います。

そのなかで、今後社会問題となるかもしれないのが、要介護者のインプラント周囲炎、ビスフォスフェネート(骨粗鬆症のお薬)による顎骨壊死があげられていました。そして多くのスピーカーが、安易にインプラントを行うことに警鐘を鳴らしていました。

まずインプラント周囲炎ですが、なぜ問題かと言えば歯よりもインプラントの方が長持ちしてしまうために、しっかり清掃をしなければ炎症を抱えたままになってしまうからなのです。天然歯であれば適当なところで抜けてくれるため、咬みにくくはなりますが炎症は治まります、これに対してインプラントはいつまでも残ってしまうために炎症のコントロールが難しいのです。

ある演者は「インプラントは寿命よりも長く残ってしまう。それが問題なのです。」と言い切っていた程です。確かに、私の経験でも天然歯がぼろぼろでもインプラントだけが残っている要介護者をたくさん見てきました。確かにインプラントは歯よりも長持ちしてしまうと言えます。

また、ビスフォスフェネート剤は骨粗鬆症にはとてもいい薬なのですが、長期間使用すると骨の壊死を起こして骨髄炎を引き起こすことがここ数年でわかってきました。一度骨壊死が起こってしまうととても治りにくく非常に危険な状態になってしまいす。この骨壊死を起こす引き金になっているのが、歯周病や入れ歯による潰瘍、抜歯やインプラントの手術などがあげられているため、歯科治療を必要としている人がこの薬を長期間服用した場合、抜歯はおろか入れ歯も入れられなくなってしまうのです。

これは既に重篤な副作用として警告がなされているレベルの問題で、今後ますます深刻になっていくことでしょう。

最近インプラントが世間で認知されるようになるとともに、技術のない歯科医師が安易にインプランを行い失敗するケースが増えています。インプラントは高額な医療ですが、術式は比較的簡単で、ちょっと練習すれば誰でもできてしまう錯覚に陥ります。そこに、多くの歯科医師が飛びついてインプラントを行ったために、多くの失敗症例が出てきたのは事実です。

これは、我々歯科医師側の問題ですが、根底に流れる問題としては、保険診療が削減され歯科医師の所得が圧迫されたためにハイリスクだがハイリターンのインプラントについ飛びついてしまうのではないかと思います。ほかの歯科治療で十分な報酬が得られれば誰もがリスクの高い治療に手を出すとはないのです。歯医者側の利己的な考え方かと思われるかもしれませんが、事実ではないかと思います。

だからといって、未熟な歯科医師がインプラントに手を出していいとは思っていません。法的拘束力のある試験や認定制度などを設けて安易にインプラントができてしまう現在の状況を変えることが必要ではないのでしょうか?

今回の学会は私にとってとても有意義なものでした。いい機会ですから、ここで私にインプラントに対する考えを述べたいと思います。

インプラントはすばらしい治療法だと考えています。入れ歯やブリッジに比べ明らかに優れた治療法だと思います。ですから、経済的、肉体的、物理的に可能であれば入れ歯やブリッジよりもインプラントをお薦めします(もちろん例外はありますよ)。

インプラントを入れることで食べたいものが食べられるということは健康を維持する上でも生活の質を上げるためにも有効なことだと思います。病気になってからインプラントが問題になることを考えるよりも、インプラントを入れて病気にならないようにすることのほうが、より良い人生を送ることができるのではないかと思っています(歯の健康な人程、病気にかかりにくいことは立証されています)。

私は臨床経験で食事ができない辛さを訴える患者さんをたくさん見てきましたが、皆さん口を揃えて「これほどものが食べられないことが苦痛だとは想像していませんでした。」と言っています。インプラントは5年後の維持成功率が93〜98%という非常に予知性の高い治療法です。決してリスキーな治療法ではありません。

しかし、インプラントは万能ではありません。インプラントのリスクを良く理解して頂き、インプラントと上手につきあっていくことが大切だと思います。また、我々歯科医は、成功率を100%にするべく日夜技術の研鑽に勤しまなければならないと考えています。

少し熱く語りましたが、普段なかなか皆さんにお伝えできない内容ですのでこの場を使ってお伝えしました。
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