NHKが3年がかりで放送している「坂の上の雲」が今年も始まりました。早いもので今年が最後となりました。いよいよ、ロシアとの総決戦が始まりました。
私が坂の上の雲を読んだのはもう10年以上前のことになります。もともと、「竜馬が行く」から司馬遼太郎にはまり、「坂の上の雲」にたどり着いたのですが、司馬遼太郎のなかでも最も好きな作品です。
当時は、戦艦の対戦シーンを迫力ある映像で再現することはまだ難しい時でしたので、まさか映像化されるとは夢にも思いませんでした。しかし、今日の放送を見る限りまるで本物を使って撮影しているかのような映像をみて、小説とは違った映像としての作品のすばらしさに感動してます。
さて、今回中心に描かれているのは乃木希典陸軍大将です。私にとっては小さい頃から親しみのある人物です。
私が子供の頃住んでいた家は、田舎の農家のとても古い家でした。仏間の鴨居の上には、先祖の遺影が掲げてありましたが、その横に明治天皇の写真と乃木大将の写真が並んでいて、正月になると祖父から教えられるがままに、写真を拝んでいました。
祖父は、「えらい人なんだぞ」といつも語っていましたから、子供の頃私にとって、明治天皇や乃木大将は神様みたいな存在でした。(もちろん、信仰心があったわけではありません)そんな乃木大将を司馬遼太郎は、何とも無能な大将だったと酷評しています。
私にとっては、祖父から伝えられてきたイメージと真っ向から対立するものでしたので、とても衝撃的な内容として私の中に強い印象が残ったのではないかと思います。
今考えてみると40年程前の私の少年時代には、まだ僅かながら明治の香りが残っていたのかもしれません。