あごの症状

こんな症状はありませんか?

・口を開ける時や閉じる時にあごに痛みを感じる
・あごの動きが悪く、大きく口を開けることができない(人差し指、中指、薬指の3本分縦に揃えて入れられない)
・あごを動かすと音がする
・こめかみや頬、耳の前に痛みを感じる
・かみ合わせが変わったと感じる

このような症状を慢性的に抱えている方はいらっしゃいませんか?これらの症状が出る方は、ひょっとすると顎関節症かもしれません。

顎関節症とは?

◯◯症と名付けられているものは、ある特定の病態、症状、原因を指すものではなく、多様な病態、症状、原因からなる障害のことをまとめた病名です。そのため、上記のような顎関節やあごを動かす筋肉の障害をまとめて顎関節症と呼んでいます。
顎関節症の病態として、あごを動かす筋肉の障害顎関節の障害顎の骨の変形などがありますが、それらが必ずしも単独で発症しているとは限らず、複合していることが多々あります。

顎関節症の原因と治療法

他の病気との見分け方

特徴としては、口を開けるたり閉じたりする動作をした時に症状が出て、顎を動かしていない時には症状がありません。顎関節症とよく間違われるのが、耳下腺炎や智歯周囲炎(親知らずの周囲の炎症)などですが、これらはじっとしていても痛みがあります。また、これらは感染による炎症ですから抗菌剤で良くなりますが、顎関節症は、感染が原因ではないため抗菌剤では良くなりません。

顎関節症を引き起こす因子は?

・
歯ぎしりや食いしばりがある
・いつも右で噛んでいたり、左で噛んでいたりと偏っている
・ガムをよく噛んでいる・
うつぶせで寝ている・
吹奏楽器などの演奏や長時間歌を歌う行為
など、あごに負担のかかることを長時間行っているの主な原因として挙げられます。特に、歯ぎしりや食いしばりは長時間にわたってあごに負担をかけてしまうため、顎関節症になった方の8割に認められています。

治療法

基本的にはカウンセリングであごに負担が掛かっている因子を見つけ出し、それを取り除くように心がけてもらうことで7~8割近くが改善されます。カウンセリングで改善しない場合は、マウスピースを使って顎にかかる負荷を少なくします。また、痛みがひどい場合は、痛み止めで抑えます。ただ、膝や肘などの関節の損傷と同じように顎関節が損傷を受けてしまうと、症状が改善されても顎関節が元に戻る訳ではありません。

歯ぎしり食いしばりを予防法

歯ぎしりと食いしばりは顎関節症の一番の要因です。特に日中は、かみしめを行わないよう心がけましょう。日中のかみしめ癖は心がけ次第で治すことができます。歯ぎしり食いしばりについては、こちらをご覧ください。

歯ぎしり食いしばり

あごが変だなと思ったらすぐ受診を

顎関節症は、痛みや違和感が少ないものが多く、そのまま放置してしまう患者さんが多くいらっしゃいます。しかしながら、いったん顎関節を損傷してしまうと完全に元には戻りません。あごに違和感を感じたら自己判断せずに、一度受診していただくことをお勧めします。

こんな治療は要注意

以前は、かみ合わせが悪いのが原因だと言われたこともありましたが、今では一つの因子に過ぎないと言われています。多くが、カウンセリングのような保存療法で改善することから、かみ合わせの調整などを初めから行う事はありません。また、整体などであごをボキボキと動かしたり、首や背骨の曲がりを矯正するといった施術を見かけますが、今のところ科学的根拠はありません。

あごを動かすと音がしたり口を開けづらくなるのはなぜ?

関節円板

顎関節では、下あごの後ろの部分の突起とそれを受けている頭蓋骨の凹みが合わさっていますが、骨と骨がゴリゴリと擦れているわけではなく、関節円板と呼ばれる繊維製の組織がクッションの役割をしてスムースに動くようになっています。

あごがカックンとなる仕組み

この関節円板の位置がズレてしまうと、あごを動かした時にカクッと音がします。関節円板が傷ついているとジャリジャリと感じます。関節円板が前にずれたままだと口を開けることができません。