歯に刺激が伝わる仕組み

歯の構造

歯は外側からエナメル質、象牙質、神経の部屋という構造になっています。刺激を感じるセンサーは象牙質の内側にへばりついていて、象牙細管という管に突起を伸ばしています。この象牙細管の中に水分が入っていて、エナメル質が削られて象牙細管が開いていると、刺激が伝わる仕組みとなっています。

象牙細管の電子顕微鏡写真

これが、実際の象牙質の電子顕微鏡写真です。小さいですが、たくさん穴が開いています。このように象牙細管が開いているところは、エナメル質の層のない歯の根が露出したところや、歯を削って象牙質が露出した場合、歯が割れたり亀裂が入った場合に見られます。

こんな刺激で歯がしみる

ここに、歯磨きなどの機械的刺激が加わったり、風が当たって水分が飛ばされたり、浸透圧の影響でお砂糖などが水分を吸い上げてしまうと、ちょうどストローで水を吸い上げるように象牙細管内の水分が移動して、神経の部屋にあるセンサーが反応します。

虫歯は象牙細管に蓋をする

では虫歯の場合を考えてみましょう。虫歯は組織が壊れたものです。図を見てもらうとわかるように、虫歯が蓋の代わりになって象牙細管を塞いでしまうのです。まして、金属やセラミックなどの詰め物が詰まっていたらしっかり蓋をされたようなものですから、象牙細管内の水分を動かすことはできません。つまり、虫歯になると刺激が伝わらないのです。

神経が炎症を起こす

虫歯がここまで大きくなると、神経の部屋まで菌が入り込んで炎症を起こします。炎症を起こした神経は過敏になってしまう為、僅かな刺激でも反応してしまいます。ここまで来ると、痛みとして感じますが、虫歯が原因というよりも、神経の炎症「歯髄炎」による痛みと言えます。残念ながらここまで進行すると神経を取らなければなりません。

虫歯を治すには

虫歯を削りコーティングする

虫歯を治す基本は、虫歯ををしっかりと削りとり、削った面を保護する事です。象牙細管のぶつぶつと開いた穴を塞げば症状は治ります。削った面を保護に使用するのがコーティング剤、あるいは接着剤です。そして、接着剤が長持ちすれば、虫歯が再発する事なく歯が長持ちします。