さあ、完成したセラミックを装着します。
どんなに頑張っても製作過程に誤差が生じます。それをお口の中で微調整します。まず削った歯にピッタリと入るか確認し、続いて隣の歯とのコンタクト(接触)調整をし、最後にかみ合わせの調整をします。
赤い紙の厚みは10ミクロン(1ミリの1/100)で、かみ合わせの調整は誤差、10ミクロン前後を狙っています。30ミクロン誤差があると、歯は違和感を感じます。敏感な方だともっとシビアな調整が必要になります。
最後は、削ったところを研磨して装着です。強力な接着剤を使いますので、余分な接着剤を取るのも一苦労です。そのため装着直後はご覧に様に歯茎が赤くなっています、
裏側です。オールセラミックですので当然白く仕上がっています。
いかがでしたでしょうか?セラミックの歯を1本作るためには物凄く多くの工程を必要とします。作業模型を作るだけでも大変な技術を必要とします。手が滑って模型を僅かに傷つけてしまっただけで、1からやり直しになってしまいます。セラミックを築造するのも、パウダーと水を繊細に築造して、何度も焼成しながら少しづつ焼き上げています。今回のケースでは、フレームで1回、象牙質のベースで1回、エナメル質で1回、グレーシングで1回の計4回お釜で焼き上げています。焼き物をご存知の方ならお分かりかと思いますが、焼き上がりの色を想像しながらセラミックパウダーを築造することは非常に難しいことなのです。歯科技工士の仕事はまさに職人技と言えるもので、とてもセンスのいるものだと思います。
皆さんの歯型をとってセラミックをお口の中に入れるまでの間には、これだけの作業が行われていることはほとんどご存知ないのではないでしょうか?