福島第一原子力発電所の事故は心配ですね。ことの成り行きをずっと見守っていましたが、だいぶ収束に向かっているような感じで、ちょっと安心してきました。
原子力エネルギーは出来れば使いたくなかったけど、CO2を排出しないエネルギー源として現在最も有効なもので、事故が起こる前はエコブームに乗って推進の気運が高まっていました。
しかし、今回のような事故が起こって、今まで考えない振りをしてきた原子力エネルギーの問題点が、現実のものとなってしまいました。これは、社会全体の問題です。現に、私たちはその原子力エネルギーの恩恵をこれまで受けてきました。事故が起きたからといって、東電にそのすべての責任を求めるマスコミの風潮もどうかと思います。
単純に人的なミスによる事故であれば当然責められるべきでしょうが、今回は、誰もが予想し得なかった文字通り未曾有の津波が押し寄せ、3つもあったバックアップシステムがすべて機能しなくなり、さらに海水を使って廃炉にしてしまった時の莫大な損失を考えれば、誰しも決断を躊躇するに違いありません。
今、誰かを責めても何の意味もありません。身を挺して事故の処理に当たっている人たちに、エールと感謝を送りたいと思います。
さて、私たちの仕事は放射線を扱うことを許されている職種です。そして、一般の方より放射線に被曝する量も多い職種と言えます。そのため、歯科の教育の中にも放射線医学がカリキュラムに組み込まれています。
患者さんの中には、レントゲン写真に対する不安をお持ちの方がかなりの割合でいらっしゃいます。「不安」は、「わからない」から起こります。ここで、「わからない」をなくし、「不安」を解消しましょう。
歯科用のレントゲン写真の1枚当たりの被曝量はどれくらいだと思われますか?
フィルム 1枚 0.01ミリシーベルト
デジタルレントゲンなら その10分の1 1枚 0.001ミリシーベルト
ちなみに 頭部CT 2ミリシーベルト
日本人の場合自然界から年間2ミリシーベルト程度浴びています。
1日に換算すると 0.0054ミリシーベルトとなり、歯科用レントゲンは1日に浴びる放射線量の1/5に過ぎません。
だから、何枚撮ってもいいという訳ではありませんが、歯科用レントゲンで健康に害を及ぼすことはほとんど考えられないとうのが、現在の医学の見解です。