いつも皆さんにお話ししている事

当院では、初診時にレントゲンと口腔内写真を撮影し、1時間程かけて現状と治療方針をお話ししています。そこでいつもお話ししている事をここで書いてみたいと思います。

まず、虫歯は治らない!

虫歯は治すのではなく、修復するのです。痛みや虫歯の進行を止める事はできても、決して元通りにはなりません。意外にこの事を患者さんは認識されていません。治ったと思われています。ここに、歯科医師と患者さんとの大きな認識のギャップが生じています。

丈夫な材料が良い訳ではない!

私が、患者さんに詰め物の材質について説明すると、よく「どちらが丈夫ですか?」と聞かれます。でもよく考えてみてください。

1.歯には最大でその人の体重くらいの力がかかります。
2.温度変化は0℃〜100℃近く変化します。
3.酸からアルカリまでいろんな化学変化を起こさせる物質が入ってきます。
4.湿度100%
5.バイキンうようよ

こんな過酷な環境が身の周りに他にありますか?そしてこの非情ともいえる過酷な環境下で、生体である歯に何十年もくっ付いていられる接着材がこの世の中にあると思いますか?

ちなみに、小さな銀歯の平均耐用年数は約5年と言われています。

「たった5年?」と皆さんは思われるかもしれませんが、不可能な接着にチャレンジしている私たち歯科医師からしてみれば「5年も?」といった感覚です。

十円玉を金槌で叩いてみてください、だんだん反っくり返ってきますね。金属なら熱による膨張収縮もあります。さらに酸により劣化もしますね。歯に詰めた金属も同じようなことが起こっている事は想像に難くありません。

金属が変形すれば、当然接着剤は剥がれます。すると、その隙間に細菌が侵入して虫歯が発生します。金属はレントゲンも光も通さないので、金属の下で虫歯が進行している事など誰にも判りません。

セラミックについても考えてみましょう。例えば、割れたお茶碗をぴたっとくっつけて何年、いや何ヶ月、いや数日普通に使う事とが出来るような接着剤が、売られていますか?

いかがですか?それでもまだ「たったの5年?」と感じますか?

金属やセラミックは確かに丈夫です。しかし、口の中で壊れずに残っていても再び虫歯が出来てしまっては全く意味のないものになってしまいます。

問題は、いかに虫歯にならないように歯を保護するか、また歯が割れないように補強できるか。そして、いかにうまく咬めるようにするか。ではないでしょうか?

歯を虫歯から守るのには、削ったところを確実に保護することが最も大切なのです。

ではどうやって保護するのか。

現在もっとも接着力のあるものはプラスティック系の接着剤です。この接着剤と最も相性がいいのは、金属でもセラミックでもなくプラスティックです。つまり、削った面をすぐにプラスティック系の材料で保護してあげる事が、現在もっとも優れた治療法だと私は考えています。

当院では出来るだけダイレクトボンディングと呼ばれるプラスティックを用いた修復治療を行っています。それは、

1.型を取る必要がなく、削ってすぐに詰めることができるため、感染のリスクや仮の詰め物によるトラブルを防ぐことができる。
2.熱伝導や硬さなどの物性が歯とよく似ている。
3.コストがかからない。
4.金属やセラミックはすっぽり入るように歯を削らなければならない為、虫歯よりも大きく削ることになってしまうが、プラスティックなら縦横無尽に削っても簡単に詰めることができる為、健康な歯を削らなくて済む。

などのメリットがあります。(デメリットは、高度な技術を必要とすること、時間がかかることなどです。)

確かに、セラミックや金属は丈夫です。でも、その下にある歯がまた虫歯になってしまったら、いくら口の中でそれらの詰め物が奇麗に残っていたとしても意味がありません。目的は歯を守る為に詰めたものであるのに、患者さんは詰めたものを大事にしようと考えられている方が実に多いのです。

ここで確認しておかなければなりません。あくまで、ここまでのお話はプラスティックで対応できる大きさの虫歯の話です。神経を取った歯は基本的にはプラスティックでは治せません。歯の表面は保護できますが、強度がないため破折します。大きな修復であれば、金属やセラミックを使わざるを得ません。

そうです、大きな修復は小さな修復に比べて耐用年数は短くなります。ですから、セラミックや金属は止む無く使っていると言えます。そこは、十分にご理解ください。

どうでしょう?「目から鱗が落ちた」と思って頂ければ幸いです。

なお、このブログを読んでから私の治療を受けられるなら、私がこの話を始めた時には、どうぞ「その話はブログで読んだよ」とおっしゃらずにもう一度生の声でお聞きください。よろしくお願いします。

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