コラム

セラミック?銀歯?プラスティック?いえ、もっと大切なことがあります

すっかり秋らしくなってきましたね。医院のディスプレイも紅葉に変わりました。

さて、今日は今皆さんがお持ちの歯科治療についての価値観を少し変えてみたいと思います。

虫歯の治療をする時に、「セラミックと銀歯ではどっちが耐久性がありますか?」と、よく聞かれます。

ちょっと待てください。そんなにセラミックや銀歯の耐久性が気になりますか?

患者さんは、虫歯でなくなってしまったところに、耐久性のあるものを詰めれば、その歯はより長く虫歯にならないと思われています。

しかし、それは全く見当違いです!

皆さん、治療したのにのに何年かするとまた虫歯になっていたという経験ありませんか?中には、高額なセラミックを入れたにも関わらず2〜3年で駄目になってしまいがっかりしたなんてことありませんか?

私が一番大切だと考えるのは、「どうやったら虫歯の再発を防ぎ、機能回復できるか?」ということです。

虫歯の再発を防ぐには、まず感染した歯質を奇麗に取り除く事。感染した歯質の中には虫歯菌が潜んでいますから、それを残したまま詰め物をすればそこから虫歯が広がるのは火を見るより明らかです。

次に、削った面は虫歯になりやすい為、虫歯菌が入らないようにしっかりと保護する事。具体的には、削った面を出来るだけ耐久性のあるコーティング材で覆う事です。

このコーティング材の役目をになうのが、接着剤です。つまり、虫歯を奇麗に削り取ったら、耐久性のある接着剤を使って削られた面を保護してあげる事が、虫歯の再発を防ぐのに最も重要な事なのです。

そうなると、「セラミックと銀歯のどちらが耐久性がありますか?」という議論ではなくて、「どんな接着剤が一番耐久性がありますか?」という議論をする事が最も意味のある事になります。

そこでちょっと想像してみてください。

  • 歯には最大その人の体重くらいの力がかかります。
  • 温度も0度近くから80度近くまで変化します。
  • 酸からアルカリまで変化します。
  • 湿度100%!
  • バイキンうようよ!

これほど過酷な環境身の回りにありますか?

そんな過酷な環境のもと、歯という生体に対して、金属やセラミックをくっつけて、5年や10年問題なく付いているなんていう接着剤この世の中に存在すると思いますか?

たとえば、お茶碗が割れてしまったら、さっとくっつけて何年も何事もなかったかのように使うことができるような接着剤なんてありますか?

そんなものが出来れば、それこそノーベル賞ものですよ。

皆さんは、耐久性のあるものを使えば治した歯が長持ちするものだと思い込まれているようですが、それは全くの誤解です。ちょっと考えてみれば分る事ですね。

でも、「20年も前に治した歯が、未だに何の問題もなく保っているのはどうしてだ?」と思われ方も多いと思います。実際にもっと長く保っているものはたくさんあります。

それは、すぐにまた虫歯が出来てしまう治療とどこが違うのでしょう?

答えは、接着剤に負荷がかからないようにしているのです。

例えば、10円玉を金槌で叩けば反っくり返ってきますね。薄くて平たい銀歯を詰めれば当然銀歯は変形してきます。すると、銀歯と接着剤との結合は破壊され、銀歯と接着剤との間に隙間が出来ます。さらに銀歯に力が加わると緩んだ銀歯が暴れ出し、接着剤を壊していきます。

これを防ぐには、銀歯を厚くして、叩かれても変形しにくいようにしてあげれば、接着剤はより長持ちしますね。

つまり、どうやったら接着剤を長持ちさせることができるかを考える事が一番大切なのです。

続きは次回へ。

世田谷区・用賀の歯科ならヒラノデンタルオフィスのホームページはこちらから

平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

ヒラノデンタルオフィス 世田谷区用賀4−12−4

関連記事