歯医者になって早18年、振り返ってみればたくさんの歯を治してきました。1日に30人近く診療していた頃もありますが、平均すれば1日15人くらいになります。
一人1本、年間250日診療したとして、3750本。18年で67,500本の歯を治療してきたことになります。ちょっとピンとこない数字です。
これだけ治療してきたにもかかわらず、時々予想していない結果に終わるケースがあります。特に、治療後に予期せぬ歯の痛みがでてしまうと、私たちの信頼を失いかねないため、細心の注意を払っているのですが、それでも予測できない痛みが出てしまうことがあります。
特に、患者さんが虫歯と認識していない歯を治療した後で痛みが出てしまうと、「かえって痛くなってしまった。」とおしかりを受けることがあります。
実は、私たちにとってもこれは実に痛いところなのです。歯科治療は外科処置であって、何らかの侵襲(ダメージ)を歯に与えます。自覚症状がなくても、虫歯が大きくなっていれば、神経の近くまで歯を削ることになり、痛みを出す確率が高くなります。
特に、急速に進行するタイプの虫歯は症状が出にくく、患者さんとしては、小さな虫歯を削られて痛みが出るのはおかしいと思われがちです。
「事前の説明、事後の言い訳」と言われるように、こういったケースでも前もって患者さんに状況を話しておけば説明と取ってもらえますが、後から実はこんなに大きかったんですよと話しても、言い訳にしか聞こえません。だからといって、どんなに小さなケースでも痛みが出ますよと言う訳にはいかず難しいところです。
前の職場と今とでは、患者さんの年齢層が若返ったためか、若干予想が外れることが多くなっています。これは、年齢が若い程、歯髄(歯の神経)が大きく、症状が出やすいためです。
最近はだいぶ軌道修正できてきたように自分では思いますが、まだ完璧とは言えません。予期せぬ痛みが出てしまった方、「ごめんなさい」。そして、これから治療を受けられる方、「そういったことで、大目に見てください」。予知性を高めるため、日々精進いたします。