コラム

肺炎と歯磨き

先日、60歳の患者さんが、最近肺炎にかかってしまったと話していました。この患者さん、見たところお若く、スポーツもされており、とても肺炎にかかってしまうようなお方には見えなかったのですが、考えてみれば思い当たる節はありました。

まず、肺炎の原因から説明しましょう。肺炎は、お口から肺に細菌が入って起こる病気です。そして、肺炎を起こす細菌はお口の中にたくさんいます。

ただ、通常お口の中の細菌が肺に入らないようしくみがあるために、健康な状態であれば肺炎を引き起こしません。しかし、風邪を引いて粘膜の調子が悪くなったり、お年を召して喉頭蓋(食べ物と空気を振り分ける喉にあるふた)の動きが悪くなったりすると、細菌の浸入を許してしまいす。

そのため、細菌の浸入をできるだけ少なくするために、常日頃からお口の中の細菌の量を減らしておく必要があります。つまり、歯磨きが必要だということです。そうなんです。この患者さん、実は歯磨きがうまくいっていなかったのです。

また、半年程前になりますが、90歳になられる患者さんが、肺炎により入院されました。ご家族の方から話を伺うと、肺炎にかかる数週間前から入れ歯を入れたままお休みになられていたようなので、入れ歯の汚れが十分取りきれていなかったのが原因ではないかと思い、お休み前に入れ歯は取り外してよく洗って頂くようご指導したところ、その後の経過が良くなったとのご連絡をいただきました。

ご年配の方は、喉頭蓋の反応が鈍ることと、粘膜に付着した細菌を体の外に送り出す線毛の働きが鈍ることで、肺に細菌が浸入しやすくなってしまいます。歯磨きや入れ歯のお手入れでお口の中の細菌の量を減らせば、肺炎のリスクをかなり減らすことができます。

これは、ご年配の方に限らず、風邪を引いて喉の調子をおかしくされた方にも同様のことが言えます。常日頃からお口の中を清潔に保つことは、肺炎を予防する上においてもとても大切なことです。どんなに健康な方でも起こることですから、皆さん他人事と考えず歯磨きを怠らないでください。

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平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

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