術前術後の症例写真について

先日厚生労働省の会議で、ホームページに術前術後の写真の掲載やアンケートやインタビューなど掲載を禁止することが決まりました。

これは、画像の加工や条件の異なる写真を使ってあたかも処置により効果が期待できるように見せかけているサイトが見受けられ、それによるトラブルが多発しているための規制を行うというものです。来年の6月ごろまでに具体的にまとめるて通達するとのことです。

これまでにも医療の広告には原則様々な規制がありましたが、ウェブ上のサイトは広く一般の目に触れるものではなく、それを検索して調べようと言う意思の元に閲覧されるものなので広告に当たらないためほとんど規制はかかっていませんでした。

例えば、電柱に「ヒラノデンタルオフィス」と広告されていれば、歯医者など行くつもりもない人でも目にすることになります。駅のホームに設置してある広告も誰の目にも入るものです。

しかし、ホームページは「ヒラノデンタルオフィス」をクリックしなければ見ることはできません。ですからこれは広告に当たらないと解釈されていたわけです。これだけ国民がインターネットを使う時代になるとそうも言っていられなくなってしまったのです。

確かに、最近「フェイクニュース」という言葉までできているように、ホームページの世界はある意味やりたい放題で、うっかりしていると騙されてしまうのも頷けます。

とはいえ、術前術後の写真を見て騙されるから全面禁止というのは如何なものかと思います。

例えば、外食をするときに食品サンプルや写真を見て美味しそうだなと思って注文することってありませんか?術前術後の写真の掲載を禁止するというのは、これを禁止するのと同じことではないでしょうか。

美味しそうに見えたけど、食べて見たらそうでもなかったという経験をしたことはありませんか?だから、写真や食品サンプルは誤解を招くので禁止するとはならないですよね。

写真は美味しそうだけど、実際食べて見ないとわからないというのは、皆さん折り込み済みで注文していますよね。見た目が良さそうだから、全体大丈夫と思っている人はいないですよね。

医療の中でも歯科治療は外科処置です。やり直しはききません。薬を飲めば治るようなものと違って、誰がやっても同じ結果が出るものでもありません。歯科医師の腕次第といっても過言ではないことは、皆さんよくご存知のはずです。

ですから、皆さんも歯医者の腕の良し悪しを何かしらの方法で判断して選んでいらっしゃると思います。

しかし、そこに医療広告の大きな壁が立ちはだかっています。

医療では「治癒結果をコミットしてはいけない」ため、広告に治療の成果を掲載することは禁止されています。

医療の看板に掲載して良いものは、「医院名」「所在地」「電話番号」「診療科目」「診療時間」だけです。

それ以外はダメです。「口腔外科」「小児歯科」といったものは大丈夫ですが、「インプラント」「審美歯科」は実はダメなのです。かなり厳しい規制です。

ホームページがない時代その判断材料は口コミしかありませんでした。

しかし、我々医療サイドからすると口コミはあまり正当な評価とは言えません。

患者さんが分かる医療技術は、せいぜい「痛くない」「速い」「丁寧」といった曖昧なものばかりです。

それでも医療技術で評価されればまだ良い方で、「先生が優しい」「新しい機械を入れている」「綺麗」といったあまり技術とは関係ないところで評価されることがほとんどです。

ホームページを持つようになって何が変わったか?

これまでその医院に通わなければわからなかった、ドクターの顔やスタッフの顔、医院の雰囲気、ドクターの経歴や考え方や治療の技術、費用などが開示され、患者さんにとっては選択する基準が沢山増えたのです。

ホームページがない時代、ドクターの顔すら分からなかったのです。

その中で、治療の前後の写真というのは最も効果的にその医院の技術を知ることができる要素なのですが、それを禁止してしまうということは、多くの患者さんにとってはかなりマイナスになるのではないでしょうか。

確かに、加工している写真や条件を変えてよく見せている写真を載せているところもあるかもしれません。でも、そんなことは世の常です。

行政が行わなければならないのは。そういったサイトがあるように患者さんに注意を促すことや嘘の写真を掲載できないような仕組みを作ることではないでしょうか。

ただ残念ながら掲載禁止はもう決まってしまったことのようなので従うしかありません。

今後出される通達に従って症例の写真やアンケートなどを削除していきます。

私としては、多くの具体例を皆さんに見ていただき、治療によってどのような結果になるかを想像できるようになっていただけたらというつもりで写真を掲載してきました。

本当に残念です。

これまで掲載した症例は、全て患者さんに掲載の許可を頂いたものです。多くの方から今後治療する方の参考になればとのお言葉も頂いております。

ホームページでは使えなくなってしまいますが、当院にいらして頂ければたくさんの写真をご覧いただけるようにしております。

また、個別の対応であればご紹介することも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。