今朝の通勤では人影はまばらで、いつも渋滞している瀬田の交差点付近もガラガラでした。完全にお盆休みモードですね。当院も明日から、3日間お盆休みとさせて頂きます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願い致します。
さて、先日NHKの番組で総合診断医というのをやっていました。どういう医師かというと、外科や内科といった専門領域にとらわれず幅広い知識で患者さんを診断し、必要があれば専門医に橋渡しをするいわゆるコンダクター(指揮者)のような医師のことです。番組ではイチロー型医師と呼んでいました。
番組に出ていた先生は元々沖縄に勤務していたそうですが、5年前に上京して勤務したところ、あまりにも医療が専門的になり過ぎていたためにかえって病気の診断ができなくなっていることに気づき、総合診療部を立ち上げたそうです。
実はかねてより私も同様の感覚を持っておりました。「え?でも歯科って歯科だけじゃないの?」と思われるかもしれません。ところが歯科も非常に細かく専門化されています。
補綴科:冠橋義歯(クラウン・ブリッジ)部分床義歯(部分入れ歯)全部床義歯(総入れ歯)顎顔面補綴(癌などで顔の一部を失った方の修復)の4科
保存科:修復 歯周病 歯内療法(根の治療)の3科
矯正歯科 口腔外科 小児歯科 放射線歯科 インプラント科 障害者歯科 予防歯科
ざっと数えて14あります。
大学を卒業するとそのうちの1つに所属して専門性を高めていきます。ですから、保存科にはいったらまず入れ歯を作ることはなく、矯正化に至っては歯を抜くこともありません。
大学を卒業すると、大体二つのコースに分かれます。しばらく大学の専門科に残って専門性を高めてから開業するパターンとすぐに開業医に勤務していく場合です。
前者はある技術に特化しているため、特定の科目には強いけれどその他の治療が不得手で、後者は難しいケースはできないけれど易しいケースなら守備範囲が広いといった特徴があります。
どのように技術を伸ばしていくかは個人の先生の取り組み方によって異なりますが、一般的に専門領域の技術を高めていく場合が多いようです。つまり、専門家だけが増えているということになります。
しかし、開業すると診療科目は「一般歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「口腔外科」の4つしか標榜できません。つまり、一般歯科には入れ歯が苦手な先生もいれば歯周病が苦手な先生もいるということです。そして、そのことを患者さんはほとんどご存知でない。
このように専門家ばかりいる現在の歯科医療において1つの医院ですべてを高いレベルで治すことが難しいといえます。でも、本当にそれでよいのでしょうか?
患者さんの立場に立ってみれば、一つの医院ですべて治してもらえるのがほんとはありがたいのではないでしょうか?それには、深くて広い知識をもって治療することが必要です。まさに、走攻守そろったイチローのような歯科医師が求められるのではないでしょうか?
私は補綴を専攻しましたがオールマイティな歯科医療を目指し、その後インプラントや保存分野の研修を受けてきました。今回のNHKの番組はそれを後押ししてくれるような内容で、私に取ってはとても心強い応援のように受け止められました。
イチロー型歯医者 なかなかいいネーミングです。これから使わせて頂きましょう。