
今日は昨日の続きではなく、本日の症例をご紹介します。
右下奥から2番目の歯(レントゲン写真では向かって左)が歯周病でグラグラです。
反対側にはインプラントが入れていますので、患者さんは抜いてインプラントを希望されていました。
それも一つの治療の選択肢ですが、今回はすぐ奥に噛んでいない親知らずが残っていますのでそれを使わない手はありません。
そう、移植です。
ぐらぐらの歯を抜いたら、周囲の不良な組織を綺麗に取り除き、奥の親知らずを抜いてそのまま手前の穴に、文字通り「ズボッ」と入れました。時間にしておよそ15分。今までこんなにうまくいったことがないくらいあっさりと移植できました。
というのも、歯の根のサイズがぴったりだったんです。
歯の移植はインプラントに比べていくつかのメリットがあります。
1.自分の歯であること。
これは大多数の方が納得される最大のメリットです。
2.インプラントに比べて治療期間が短い。
インプラントだと、歯を抜いた後骨ができるのに約3ヶ月待ち、インプラントを入れてから生着するのに2〜6ヶ月、都合5ヶ月から9ヶ月近くかかるのに比べ、移植ならたった2ヶ月で終わりです。
3.インプラントに比べて安い
技術的にはインプラントより難しいケースが多いのですが、一般的な移植の相場はインプラントより安くなっています。
では、デメリットは?
1.移植する歯が必要
親知らずや、噛んでいない不要な歯があればいいのですが、なければ移植はできません。さらにサイズが適合するかどうかも重要です。
2.成功率はインプラントより低い
歯の根は形状が複雑なため、インプラントに比べて結果を予測しづらく、成功率もインプラントには及びません。
ここで、移植が成功しやすい条件をご説明しましょう。
1.抜歯した後の穴のサイズより、移植する根のサイズが小さい。
移植歯のサイズが大きいと、骨を削って入れなければならないため、周囲の健康な組織を傷つけてしまう恐れがあり、難易度が高くなります。
2.移植する歯が生着するまで動かないように固定することができる。
移植した直後に負荷をかけてしまうと、生着しません。
3.移植する歯が抜きやすい状態であること。
移植する歯が抜きにくいと、根にダメージが残り成功率が落ちます。
このように、移植したくても移植の条件が整っている症例は少なく、移植できればラッキーと言えます。それでも、インプラントを考える前に移植について検討することは大切なことかと思います。
ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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