コラム

歯列接触癖(Teeth Contacting Habit)

歯列接触癖(Teeth Contacting Habit)

「歯の治療には力のコントロールがとても大切です。」とひとりひとりにお話をしていますが、たくさんいらっしゃる患者さん全てになかなかお話しする機会がありませんので、ブログやSNSといった媒体を使って少しずつ説明したいと思います。

少し前に「知覚過敏の原因」についてコラムを書きましたが、その中で歯を接触させる癖について触れました。ここではもう少し掘り下げて説明したいと思います。

皆さんは、1日に上下の歯が接触している時間がどれくらいかご存知ですか?

2時間?5時間?あるいはもっと?

およそ20分程度だと言われています。

意外に思われた方も多いかと思いますが、基本的に上下の歯はほとんど接触させないのが正しい状態です。

そもそも、下顎は頭蓋骨にぶら下がっている格好になっていますので、力を抜けば重力の影響で上下の歯が接触しなくなります。食事や重い物を持ち上げるときには上下の歯が接触しますが、それ以外の接触は不要です。

こんな研究があります。歯軋りをする人としない人で上下の歯を接触させる頻度に違いを調べたところ、歯軋りをする人は日中に上下の歯を接触させている時間が長い傾向にあることがわかりました。

つまり、日中上下の歯を頻繁に接触させている人は、夜の歯軋りも頻繁にしているということです。

これは裏を返せば、日中の歯の接触をなくせば、夜の歯軋りがなくなる可能性もあります。歯軋りでお悩みの方は、まず日中の歯の接触癖(Teeth Contacting Habit)を治してみる価値があるということです。

では、どうやって癖を治すのか?

まずは、どのようなシチュエーションで歯の接触癖をしているのか気付くことから始めましょう。1週間程注意してみて下さい。どんな場面で接触しているかに気付くことができます。そして、その場にポストイットで「食いしばらないように」などの目印をつけそれを見るたびに歯を接触させないよう自分に注意喚起をして下さい。

また、スマートフォンのタイマー機能を使ってみるのも効果的です。タイマーを20分とか適当な時間に設定しておきます。タイマーが鳴った時に、上下の歯が接触していないかどうか確認してみて下さい。1日に数回試してみて毎回接触させていないなら接触癖は無いと判断できますが、1回でも接触させているのであれば癖になっていると考えられますので、癖がなくなるまでタイマーを掛け続けてみて下さい。

癖を治すのは大変なことかもしれませんが、歯を失ってしまうと元には戻せません。根気よく続けてみて下さい。

平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

ヒラノデンタルオフィス 世田谷区用賀4−12−4

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