先日、歯茎が腫れたので見て欲しいと来院された患者さんです。歯茎の状態は、以前ご紹介した歯根嚢胞(のうほう)に似ていましたが、レントゲン所見ではそのような陰はありません。
発症するまでの経緯を伺ったところ、破折の可能性があったため、切開して問題を確認することにしました。
切開してみると、ご覧のように骨に丸い穴があいていて、歯の根を覗き見ることができます。肉眼では解りづらいのですが、ルーペで見ると歯の根に亀裂が入っているのが確認できました。
歯に亀裂が入ったり、完全に割れてしまった場合、出来るだけ早く抜く必要があります。さもなくば、亀裂や破折線に沿って骨が無くなってしまいます。最初の写真がその証拠ですね。ポッカリ穴があいてしまってます。
さて、当院では7割の方が抜歯をした後にPRGFと呼ばれる成長因子を入れています。
これは、歯を抜く前に20ml程採血をして、血液を遠心分離器で各層に分離し、血小板が多く含まれている層を抽出します。血小板の中には、治癒を促す成長因子と呼ばれるものがたくさん含まれているため、これを傷口に注入すると、早く回復してくれるという優れものです。
薬と違って自分の血液を分離したものですから、全く害はありません。これまで、200症例近く行っていますが、骨の再生や歯周病の再生に効果があることを実感しています。
黄色の透明の液体は血漿で、その上に浮かんでいるのはフィブリン膜です。この辺の詳しいことは、別の機会に譲りますが、歯を抜いたところに成長因子を入れ、上からフィブリン膜を被せて縫い付けてあります。
3〜4ヶ月程で骨が再生して、インプラントが入れられる状態となります。