まずは、この写真をご覧ください。前歯がやけに長いですね。さらに軸も曲がってます。そして、写真向かって右側の犬歯の根元は大きな虫歯があり宙に浮いています。セラミックと歯の境目も見苦しくなっています。この方、30代のきれいな方なのですが、このような口元でせっかくの美貌が台無しです。
前歯を、ほぼすべてやり直すことになりましたが、残念ながら中心の向かって右(本人の左上前歯)の歯の根がとても短く、先端には黒い陰が認められ、膿んでいるようです。残念ながらこの歯には、長期的な安定を見込めません。そのため抜歯することになりました。
そこで問題なのが歯茎です。このような歯を抜いた場合、確実に歯茎が無くなってしまい、ブリッジを作った時にダミーの歯がとても長いものになってしまうのです。今回のテーマは、いかに歯茎をなくさないようにするかということでした。
正直言えば、抜歯前に歯の周囲の骨がだいぶ吸収していて、さらに大きな嚢胞までできていたため、かなり厳しい条件と言えます。そのため、抜歯直後にPRGF(成長因子)と人工骨を入れて治癒を待ち、その後に歯肉移植をして形を整えました。
これでバランスよくなりました。歯と歯の間に隙間が少しありますが、これは理論上少しずつ埋まってくるはずです。約1年がかりの治療となりましたが、がらっと変わった口元に、大変満足して頂きました。