おはようございます。最近ブログの更新をさぼってしまっています。定期的にブログをご覧になって頂いている方には申し訳ありません。
さて、今日は入れ歯についてのお話。これまであまり話題にしてきませんでした。それもそのはず、用賀に開業してからは入れ歯を作る機会がめっきり減ってしまいました。
以前勤務していた病院では年間200床(個)くらい作っていました。みなさんはピンとこないかもしれませんが、一人の歯科医師が作る入れ歯の数としては桁が違っています。現在の私が年間作る入れ歯は20床以下ですから、約10分の1になってしまったといえます。
私は、大学を卒業したらすぐに総入れ歯を専門とする講座に所属して、入れ歯やブリッジなどの補綴と呼ばれる分野を専攻しました。ですから、正直言って現在の入れ歯の製作数では若干物足りなさを感じています。ときどき、入れ歯をご希望の患者さんが来院されますと、腕が鳴るような状態です。
とはいえ、入れ歯を作るのは結構手間ひまがかかります。特に歯を並べるのが一苦労。
「え?」と思われる方も多いはずです。実は入れ歯を作るには、患者さんごとに1本1本歯を並べなければなりません。
人工歯は、患者さんの顎の大きさや顔の形、希望の仕上がりなどを考慮に入れて、色と形と大きさをたくさんある中から最適なものを選びます。人工歯は1本1本に分かれています。
最初の1本を並べているところです。ロウで出来たベースに熱を加えてロウを溶かしながら人工歯を並べていきます。
下顎の人工歯をとりあえず並べ終えたところです。これから噛み合わせの微調整を行って歯ぐきの形を作ります。
こうやって、上下の人工歯をいろいろ考えながら並べていくと、軽く3時間はかかります。通常このような作業は技工士さんにお願いするところが多いのですが、実際に患者さんの口の中を見ていないと分らないことも多く、当院では自由診療の入れ歯に限って私が並べています。
実は、ここが入れ歯を作る過程で最も大切な作業なのです。人工歯の並べ方は、患者さんの年齢や性別、顔の形、さらには性格によって異なります。例えば、男性は平べったく並べると角張って力強さが表現され、女性は強めの曲線が出るように並べることで優しさが表現されます。また、面長の人は細長い歯を選び、歯列も強い湾曲を出します。がっちりした体系の人は角張った歯を選び、先端を平らにしてすり減った歯にします。
歯を並び終えたところです。この後一度患者さんのお口の中にいれて見栄えを確認して、その後に歯ぐきを細かく作っていきます。
今日はこの辺で、続きはまた今度。