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ブリッジの功罪

皆さん抜いた後どうしたらいいか考えたことはありますか?
少なくともこれまでに1本でも歯を抜いた事のある方なら悩まれた経験があると思います。

選択肢は3つ。「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」
まあ、何もしないというのもありですが。

これらの選択肢は力学的な構造で分類すると二つに分かれます。

残っている歯を支えにする「入れ歯」「ブリッジ」
骨に直接植え込む「インプラント」

前者の場合、残っている歯の寿命を縮めます。

ところで、皆さんは歯を失う3大要素をご存知でしょうか?

1つ目は 虫歯
2つ目は 歯周病 最近認知されるようになりました。
3つ目は 力   ほとんど知られていません。

「力」とは 「歯ぎしり」「食いしばり」「外傷」といった強い力が歯に加わることによるものです。

では、そんな力によって歯が失われてしまった症例をご紹介しましょう。


右上の奥歯が痛いという事で来院された患者さんです。レントゲンでは左上の一番奥の歯が痛むようです。レントゲン上でははっきりとした異常を認めませんが、お口の中で直接観察してみるとかすかな亀裂が認められました。

しかし、それよりもレントゲンで左下の奥歯が割れているのが見つかりました。しかし、患者さんは私がそれを指摘するまで気付かなかったそうです。痛くないので問題ないと思っていたそうです。

 
右上の痛かった歯は、詰め物を治す事でなんとか症状は改善したのですが、今後どうなるかはこの時点では分りません。

左下の割れてしまった歯を抜いて3ヶ月程経過した写真です。

 
力学的な観点からインプラントをお勧めしたのですが、どうしてもインプラントは受け入れられないという事でブリッジを選択されました。

写真のようにブリッジを入れるためには、健全な歯をたくさん削らなければなりません。

 
保険のブリッジを入れました。白いセラミックのブリッジを入れる場合は歯をもっと削らなければならないので、健全な歯を削って入れるブリッジという条件ではこれがベストでしょう。

とはいえ、ブリッジを入れてからしばらくは知覚過敏が出てしまいました。金属は熱伝導が高いので、温度刺激がダイレクトに伝わってしまったようです。


そして、先日右上の歯が欠けたということで3年ぶりに来院されました。レントゲン写真を撮って以前のものと比べてみると、歯の根の周囲に僅かな陰が認められます。

さらに、ブリッジにした歯の根の先端に黒い陰が!!
どうやら、ブリッジの土台の歯の神経が駄目になってしまったようです。


すぐさま根の治療です。上から穴をあけて死んでしまった歯髄を除去して消毒です。


そして問題の右上の歯ですが、ご覧のように割れていたため抜歯するとこになってしまいました。

なぜ、こうなったか?

きっかけは3年前の左下の歯の破折だと思います。初診時は患者さんは痛くないとおっしゃっていましたが、おそらく咬むと違和感があったのでしょう。そのため割れた歯の反対側の歯で咬むクセがついてしまったと考えられます。

今まで以上に強い咬合力が奥歯に加わり、右上の奥歯が割れてしまったのでしょう。おそらく、割れた痛みで最初に当院に来られたのだと思います。

ただ、その時には神経はまだ生きていました。亀裂も非常に僅かなものでした。
3年後のレントゲン写真で根の先端に陰を認めないので、神経が駄目になってしまう程完全に割れたのは最近のことでしょう。

ブリッジの土台の歯の神経が駄目になってしまったのは、歯を削って銀歯を入れたのが原因です。もちろん、私が削りすぎてしまったのが悪いのですが、私なりに削る量は最小限にしたつもりでした。

神経が駄目になった歯は、神経が生きている歯に比べて構造的に弱くなります。また、虫歯が出来ても症状がないため、近い将来抜かなければならなくなるかもしれません。

たらればですが、もし左下の歯が割れた時点ですぐ抜歯してインプラントを入れていれば、おそらく右上が割れることはなく、左下の歯も削らずに済んだのではないでしょうか。

ブリッジや入れ歯は、力のバランスが崩れる事により残っている歯を駄目にしてしまう治療法である事をこの症例でご理解して頂けたのではないかと思います。

だから、インプラントが絶対に良いとは申しません。インプラントはインプラントでいろんな問題があります。

一番大切な事は、最終的な選択をする時に入れた後にどんなリスクが生じるかをよく理解しているかどうかという事ではないでしょうか?

歯を失う原因の一つに 「力」 というものがある事をご記憶にとどめておいてください。

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平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

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