一般臨床

銀歯と金属アレルギー

お久しぶりです。ずいぶん更新をさぼってしまいました。
その間、いろいろと話題はあったのですが、ついつい更新を怠りました。

さて、今回のお題は「金属アレルギー」です。
銀歯が原因で金属アレルギーが引き起こされるということは、結構知られているようですが、まさか自分がと思っている方は少ないようです。

実は先日ある患者さんが久しぶりに来院されました。その患者さんはずいぶん前に治療をした事のある方なのですが、「金属アレルギーの症状が口の周りに出て痒くて夜も眠れない。それで皮膚科に行けば食事制限をするように言われ、好きなものも食べる事が出来ずとても苦痛だ。」といって、銀歯をすべて外してやり直して欲しいと希望されてきました。

とはいえ、銀歯をすべてアレルギーの出にくいセラミックやプラスティックに替えると数が多い為に200万円を超えてしまいます。その患者さんは年金生活のため、とてもそんなお金は用立てることができないということでした。

医学的には金属アレルギーが出たからといって、すべての銀歯をやり直す必要はないので、今後治療の必要があるところからセラミックやプラスティックで治せば十分ですよとお話しして事は収まりましたが、患者さんとしては銀歯を入れた事にずいぶん後悔をしたようです。

というのも、以前私が治療をする際に、保険の銀歯を入れた場合アレルギーが出る可能性がある事を説明していたのですが、患者さんとしてはまさか我が身に起こるとは思っていなかったらしく、軽く考えられていたようです。

保険の銀歯には、アレルギーの出やすいニッケル、コバルト、パラジウムといった金属が使われています。先進国では金やプラチナといった少なくともアレルギーの出にくい金属を使うのが常識ですが、保険医療でそのような高価な金属を使えばあっという間に財政が破綻してしまうため、昔から代用金属として安価な金属が使われ続けています。

私たち歯科医師も、その事を十分承知した上で保険治療を行っているのですが、問題はそれらの事を知らずに患者さんが治療を受けているという事ではないでしょうか。

もし、自分や自分の家族の歯を治すのなら決して保険の金属を使いません。ですから、私は患者さんにも金属アレルギーの危険性について必ず説明しています。

もうずいぶん前の事ですが、今回いらした患者さんにも私はちゃんとその事を説明していました。そのため私が「確か金属アレルギーの可能性も説明していましたよね?」と伺ったところ、うなだれながら「あの時は若かったし、こんなふうになるなんて想像もしなかったわ。」とおっしゃっていました。

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平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

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