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症例集

ブリッジから始まった崩壊

さて、お正月早々引き続きパソコンに向かっております。

年末におよそ2年越しで治療を終えた患者さんが、歯の健康を語る上でとても参考になる症例でしたので、是非ご紹介をしたいと思います。

50代初めの男性です。主訴は、「右下にブリッジが入っていたのですが、支えになっていた歯が折れて抜かなければならなかった。その後右で上手く噛めないのでインプラントを入れて欲しい。」とのことでした。1枚目は当院にいらした初診時のレントゲンです。

所見では右下の欠損の他に左上の奥に「のう胞」が認められました。

まず、問題になったのが右下の親知らず(智歯)です。インプラントを右下に2本入れるようとすると、潜っている親知らずが邪魔になってしまうのです。
解決策方法としては親知らずを抜歯してインプラントを2本入れるか、親知らずを移植してインプラントを1本にするという2つの方法が考えられました。しかし、後者の移植による方法は抜歯そのものの難易度が高いことと、移植したい部位の骨の厚みが十分になかったことから断念しました。

親知らずを抜歯し、左上の根の治療を終えてしばらく経過したところです。


次にインプラントを右下に1本入れました。同時にその奥にももう1本入れたかったのですが、骨の回復が遅くまだ柔らかかったのでもう少し待ってから入れることにしました。

インプラントに仮の歯をつけて右で噛めるようにしたところでレントゲンを撮ったところ、新たな問題が発生していました。

左上奥歯(写真では右上)の歯の根の周りが黒くなっているのがお分かりですか?根の治療をした一番奥の歯と、その一つ飛んで前の歯が割れてしまっていたのです。
一番奥の歯はもともと亀裂が入っていたのかもしれません。
それが、右側のインプラント治療をしている間、左ばかりで噛んでいたために今までにない負担が歯にかかり割れてしまったと考えられます。
歯の治療を始めると、よく別の歯にトラブルが出てきますが、これは治療している部位で噛むのを避けるために引き起こされてしまうのです。

歯が割れてしまったら原則、即抜歯ですが、2本一度に抜くのはどうしても忍びないとのことで一番奥から先に抜きました。

右下の一番奥の骨もしっかり再生してきましたのでもう1本インプラントを入れました。

これで右側はひと段落と思っていたのですが、どうやら今度は左側が大変なこと担ってきました。

ずっと左中心で食事をしていたためか、左下のブリッジの下に虫歯が出来始めてきました。いよいよまずいことになってきましたので、左上の破折した小臼歯を早く抜きましょうと説得し、一番奥に急いでインプラントを入れました。

残念ながら左下のブリッジの土台の歯の虫歯がかなり大きくなっていましたが、ギリギリ抜かずに修復することができました。
当然、これまで入れていたブリッジに次々とトラブルが発生しているので、再度ブリッジを作ることはせず、間の欠損はインプラントで補うことになりました。

左上の小臼歯を抜いた後にもインプラントを入れています。
が!!!ここでまたもやトラブル発生!右下のインプラントの前の小臼歯が破折してしまいすぐさま抜歯することになりました。


当初は2本ですむ予定であったのに、とうとう6本目のインプラントになってしまいました。


そして、これが最終の状態です。今後のリスクとしては左上下の第一小臼歯の破折が危惧されます。これは神経を取ってあり、金属の長い心棒が入っているため、強い力がかかるとはにくさびを打つようなことになり、割れやすいのです。

治療は終了しましたが、一連の崩壊が止まったとは考えていません。定期的に検査をしながらトラブルを早期に発見して、崩壊が進まぬよう見守っていく必要があります。

振り返ってみるとここまでドミノ倒しのような崩壊が起こったのはなぜでしょう?

第一の要因は、歯磨きが上手でなく虫歯をたくさん作ってしまったこと。
第二の要因は、ストレスによる歯ぎしりやくいしばり強かったため。
第三の要因は、咬合力が強いのにもかかわらずブリッジを入れてしまったこと。
第四の要因は、神経を取った歯に金属の心棒を入れてしまったこと。

このなかで、我々医療サイドがどうすることもできないのが、二番目の歯ぎしりやくいしばりによる過剰な咬合力です。事故にあうようなもので、壊れるのは一瞬です。

このような症例はほんの一握りの症例だと思わないでください。どなたにも起こりうるのです。事実、これほど典型的ではないにしろ似たような症例はたくさん診ています。

大切なのは、どなたにも起こりうると皆さんに認識していただき、注意を怠らないということではないかと思います。「あの時こうしておけばよかった」と悔いを残さないよう、常日頃から歯のお手入れに勤しみ、歯科治療にも関心を持っていただけたらと思います。

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平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

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