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症例集

本当に歯があるかのようなブリッジ

●どの写真も何本を抜いています。どれがのダミーの歯かわかりますか?
これからご紹介する症例はすべてブリッジです。まずは、写真をご覧になって、どの歯がダミーか当ててみてください。
症例1 症例2
症例3 症例4
●症例1 患者さん曰く「あきらめてました。」
30代の女性の患者さんです。これは初診時の写真です。このとき患者さんは前歯を治して欲しいとは一切訴えていません。歯科医師としては前歯の審美性が気になり「前歯はこのままで良いのですか?」と聞くと、「それは気になりますけど・・・」とのお答え。

色も形も悪く、歯ぐきもでこぼこしている為、歯の根元によく食べ物が引っかかってお食事中に人と話をするのが気になっていたようです。当然笑う時も手で口元を隠していらっしゃったそうです。
そこで、患者さんに治療方法についてご説明し、奇麗になるのならとの事でやり直すことにしました。まずはブリッジを外してみました。

見ると、歯ぐきのボリュームの足りない部分と、不必要にボリュームがある分があり、ブリッジのダミーを作りづらくしています。
せっかく余分な歯ぐきがあるのなら、もったいないのでボリュームの少ない部分へ移動する事にしました。

歯ぐきの一部に切開を入れて歯ぐきをずらしました。写真は術後数週間経ったものです。
歯の根元に相当する部分のボリュウムが増え、ダミーの歯を入れる部分が凹んでいるのがおわかりですね。
術後1
術後2
よくならないとあきらめてました。もっと早く知っていれば。」
こちらでもっと詳しく説明しています。
自然なブリッジ
●症例2 2本欠損で歯肉移植を行った難しい症例です

初診時の写真です。不自然ですね。
なぜこのようになってしまうかというと、歯を抜くと大抵骨と歯ぐきがなくなります。なくなった歯ぐきの分だけ歯を長くしないと隙間が出来てしまいますから、左右で違う長さの歯が出来上がってしまうのです。
この症例は、根本的に歯ぐきが足りませんので症例1に比べて治療法の難易度は格段に上がります。
治療法として「歯肉移植」が必要となります。移植と聞くとなんだか痛そうに思いますが、ほとんどの患者さんは「痛みはほとんどなかった。」とおっしゃいます。

歯肉移植を終え、最終的なブリッジを入れる直前の写真です。歯ぐきの形が奇麗に波打っていますね。

どんなに凝視しても、どの歯の根がないのかを見分ける事は困難です。おそらく我々のようなプロが見ても見分けがつかないレベルに仕上がっていると思います。
ちなみに、患者さんの歯肉移植の感想ですが、「痛みはほとんどなかったのですが、移植というとどうしても身構えてしまい、終わったらどっと疲れがでてしまいました。」とのことです。
奇麗になるのはわかっていても「歯肉移植」のハードルは患者さんにとっては決して低いものではないようです。ただそのハードルを越えない限り奇麗な歯ぐきを手に入れる事は出来ません。
●症例3 歯肉移植をせずに歯ぐきを整える方法
次はこれから歯を抜く予定の症例です。

右上の前歯の根元がひどい虫歯でこのまま残す事は不可能だと判断しました。
普通に抜くと、抜いた後の歯ぐきが痩せてしまい、長い歯を入れなければならなくなってしまいます。
そこで、歯を抜く前に引っ張り出し(「挺出」と呼ばれる一種の矯正です。)て歯ぐきと骨を一緒に引っ張り出すことにしました。


虫歯を削り取りフックを固定します。それにゴムを両隣の歯に鉄棒のように渡した針金に引っ掛け引っ張り出します。

数週間すると歯と歯ぐきが引っ張り出されご覧のように隙間が埋められます。


十分に引っ張り出したところで、歯の根を抜きます。上の写真は抜いた直後です。この時歯ぐきが奇麗に治るように仮歯の形を上手く整えることがポイントです。 ここでミスをするとこれまでの苦労が水の泡となり、「歯肉移植」で補正しなければなりません。


しばらく待っていると歯ぐきが奇麗に治りますので、それから型を取ってブリッジを入れます。
「歯肉移植」を行わなくても歯ぐきを作ることができるのでとても理想的な治療法なのですが、歯を抜く前である事が条件である事と、少々時間がかかる事がネックです。
●症例4 最も難しかった症例
初診時の写真です。

左上の歯と歯の間に大きな隙間がありますね。これをどうやって塞ぐか?
問題は左上2番目の歯根の状態がよくないことです。
基本的に歯ぐきは健康な歯根の周囲にでは安定しますが、問題のある歯根の周囲では炎症を起こしてなくなってしまいます。ですから、このまま「歯肉移植」を行ったところで一時的には歯ぐきを回復できるものの、しばらくすると無くなってしまうのです。
そのため、歯根表面の徹底した清掃と、十分なボリュームの歯肉移植を同時に行う必要があります。
その結果がこちら


かなり頑張ったつもりでしたが、ここまでが限界でした。でこぼこな歯ぐきをもっとシャープで奇麗なものに仕上げるのが目標でした。
ちなみにダミーは左上の1番目の歯(写真では真ん中の右の歯)です。
●歯ぐきを作るのは歯医者の仕事
これまでお見せして来た症例は、すべて歯科技工士のすばらし技術なしでは成し得なかったことです。セラミックは技工士の腕次第と言えます。
これに対して、歯医者が行っているのは「歯ぐきを作る」こと。型を取る前までに、どんな形態の歯にするか、それに伴い歯ぐきはどのような形にするか、どのように噛み合わせを与えるかといったことを決めるのはすべて歯医者の仕事になります。
「奇麗な歯ぐきを作る」ことは歯医者にとって実にやりがいのある仕事です。

平野 恭吉平野 恭吉

平野 恭吉

ヒラノデンタルオフィス 世田谷区用賀4−12−4

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