コラム

病院のネット情報をどう見極めるか

初診の患者さんから、「ここの医院を見つけるまでネットで探しまわった」という声をよくお聞きします。

ホームページは、皆さんにとって医院の診療内容がわかる便利なツールですが、多くの医院がホームページを持つようになり、多くて選べなくなっているのが現状だと思います。そこで、病院のホームページの裏事情もおりまぜ、どこを見れば良いのか私なりの視点で解説してみようと思います。

ホームページはどうやって作られるか

まず、多くの医院はホームページの製作を業者に依頼しています。(私も、開業してすぐの時に一度だけ頼んだ事がありますが、現在のホームページはほとんど自分で作っています。)制作にあたって、院内写真はもちろん、記事の内容はほとんどプロのライターが書いています。院長挨拶も、ほとんどプロの仕事です。業者の方に聞いたのですが、院長自ら記事を書いているのはほとんどないとのことでした。

それが良いことなのか、悪いことなのかを言うつもりはありませんが、ホームページの内容はそのようにして作られていると思って読むことが大切だと思います。そもそも、ホームページの大半は広告なのです。

院長の経歴

では、ホームページのどこを見たらいいのでしょう?

まず、院長の経歴を見てください。職場で人を採用する時に履歴書を見ると同じように院長の経歴はその医院を評価する上でとても重要です。そこで見抜かなければならないのは、見栄えの良い項目だけを並べ立てていないかどうかです。

まず、出身校ですがそれほど気にすることはないと思います。もちろん、大学により学力の差があるのは周知の通りで、私立と国公立では数字の上で大きな差があります。しかし、この業界で30年以上仕事をしてきましたが、活躍している先生は私立出身が多く、単純に学歴で評価するべきではないと私は思っています。

ただ、最終学歴だけを掲載している場合は要注意です。

どういうことかというと、現在の制度では大学を6年修了した時点で国家試験の受験資格が得られます。晴れて国家試験に合格すると、2年ほど臨床実習を行います。これは自分の出身校でなくても構いません。どの大学も、他大学に門戸を開いていて、ほとんど推薦で受け入れています。

もし院長の経歴に出身校を載せずに、臨床研修を受けた大学だけを載せているのであれば、その先生は出身校に思い入れがないか、自信がないと取られても仕方ありません。例えば、受験では東大に入れなかったけれど、卒後研修が東大だったので出身校のことは伏せて、最終学歴を東大として掲載していたとしたら、皆さんはどう思いますか?

卒後研修

よく「〇〇研修会を受講」と記載している場合があいますが、たくさん受講しているから良いと言うものではありません。確かに、たくさん研修を受けることはいいことなのですが、研修といっても講義を聞くだけのものから、数ヶ月にわたり実習をするものまであるため、その辺を見極める必要があります。しっかりした研修会は必ず組織を持っていますから、研修内容についてもホームページで公開しています。研修会名で検索して、どのような研修を受けたのか確認してみるといいでしょう。

私の感想では、研修を受けたからと言ってすぐに技術が向上するわけではないので、それをことさら自分の経歴に並び立てるのはあまり評価していません。実際、熱心に勉強している知り合いの先生たちは、いちいち経歴に載せているひとはいません。多くは、ブログで報告していますから、ブログをチェックするといいでしょう。

ちなみに、〇〇インプラント認定医(〇〇にはインプラントのメーカーの名前が入ります)と掲載している場合がありますが、大したことはないです。半日ほど受講すれば認定書を発行してもらえます。日本口腔インプラント学会や国際口腔インプラント学会などの学会の認定医は認定試験がありますので別物です。

その先生の得意分野を見極める

歯科にも色々と専門があります。「口腔外科」「小児歯科」「矯正歯科」の3つはみなさんご存知かと思います。実はこれらは少数派で、ほとんどの歯科は「一般歯科」で一括りにされています。ちなみに、医院案内にある「一般歯科」「小児歯科」などの「標榜」は、あくまでその分野の診療を行なっていると言う意味であって、専門家というわけではありません。そもそも、「一般歯科」という専門はありません。

その一般歯科は「保存科」「補綴(ほてつ)科」のふたつに分かれます。

「保存科」は「修復」「歯周病」「歯内療法」の3つに細分化され、「補綴」は「歯冠補綴」「部分床義歯補綴」「全部床義歯(総義歯)補綴」「インプラント補綴」の4つに細分化されます。ずいぶんたくさんありますよね。

これらの細かいところは別の機会に譲りますが、例えば「入れ歯」を作りたいのであれば、「部分床義歯補綴」「全部床義歯補綴」を数年大学で勉強した先生を選ぶと良いと思います。特に入れ歯は職人技的要素が多いにもかかわらず、大学では講義を聞くだけで卒業してしまい、多くは臨床医になってから独学で作っているのが現状です。

一番大切なことは

歯科治療に限らず、仕事において大事なことは「熱意」ではないかと思います。医院のホームページを見て熱意を感じられるかどうかが一つのポイントだと思います。そのためには、ブログなどを読んでその「医院の雰囲気」や「スタッフの人となり」を見極めてください。

歯科治療において「手先の器用さ」はとても重要なことだと思いますが、それらはたくさんの症例を見てみない限り判断することができません。ところが症例をたくさん掲載しているところはほとんどなく、事実上症例をみて判断することは不可能だと思います。

冒頭に、学歴はあまり関係ないと述べましたが、技術は熱意のある人ほど向上するものであることを実感してきました。熱心に勉強している人はその熱量がホームページからも伝わってくるのではないでしょうか。

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