前回二次う蝕を防ぐには接着剤がカギを握っていると説明しました。
つまり、接着剤にできるだけ負荷をかけないようにするためにはどうすれば良いのか。
現在虫歯を削った後に詰める材料としてして使われているのが、金属、セラミック、プラスティックの三つです。
お口の中の環境に照らし合わせながら、これらの特性を考えてみましょう。
金属を叩いてみるとどうなりますか?いい音しますよね。だから鐘や鈴は金属でできています。
セラミックを叩いてみるとどうでしょう?これもまずまずいい音がします。風鈴の一部はセラミックでできているものもあります。
ではプラスティックはどうでしょう?叩いてみていい音しますか?鈍い音しかしませんね。
ここで、虫歯を削ってできた穴に、金属、セラミック、プラスティックをそれぞれ詰めたとしましょう。そして上から叩いてみたときに、接着面にかかる衝撃について考えてみてください。
三つの材料のうちどれが接着面に衝撃が伝わりにくいと思いますか?
もうおわかりですね。一番いい音のしないプラスティックです。途中で衝撃を吸収してくれます。
金属やセラミックはダイレクトに接着面に衝撃が伝わり接着剤が破壊されます。
特に金属は繰り返し何度も叩かれれば変形していきますので、接着面に歪みが生じて破壊されます。熱の膨張、収縮による変形も考えられ、三つの材料の中で一番接着剤には過酷な材料と言えます。
さらに接着剤の特性も考えてみましょう。
現在使われている接着剤の中で、削った面を保護する膜を作り接着力の高いものは、プラスティック系の接着剤です。この接着剤に相性のいい材料はどれかと考えると、当然プラスティックであることがわかります。
こう考えてみると、虫歯を削ってできた穴に詰めるのに最も適している材料はプラスティックだということがわかります。
でも、慎重な方は、「プラスティックは脆いでしょう!」と考えるかもしれません。
確かに、プラスティックは金属やセラミックに比べて脆いと言えます。
でも、よく考えてみてください。皆さんが最も望んでいることは何でしょう?
「もう二度と虫歯にしたくない!」
という希望であって、「丈夫な詰め物を入れたい!」ではないはずです。
プラスティックは欠けることもあるでしょう。しかし、プラスティックが欠けたらその部分だけ詰め直せばいいだけです。
金属は欠けることはほとんどありません。おそらくその人の人生よりも長く壊れることはないと思います。でも、接着剤が剥がれて気づかないうちに接着面から虫歯が始まってしまえば元も子もありません。
大切なのは、「歯を長持ちさせたいのであって、壊れない詰め物を入れたいのではない。」のです。
このことを見落とさないでください。
丈夫な材料を選ぶのではなく、虫歯になりにくくするのに適した材料選ぶのです。
次回は、皆さんの口の中に入っている銀歯の怖さについてご説明します。