少々更新をさぼっておりました。その間、ケースがたくさん仕上がっていますので、順次アップしていきます。
さて、今回は当院のホームページをご覧になっていらっしゃった患者さんで、前歯の1本をオールセラミックで治して欲しいとのご要望でした。まずは写真をご覧ください。
写真向かって左側の歯の色が変色していますね。これは、神経を取ってある歯に起こる現象です。このような歯の治し方にはいろいろありますが、レジン充填が大きかったことと患者さんのご希望もあって今回はオールセラミックとなりました。
ただ、前歯の真ん中の1本だけ被せものにするのは、色合わせにおいては最も難しいことなのです。それにはいろいろと準備がいります。まず、隣にある歯の最終的な歯の色を決めなければなりません。もし、ホワイトニングをご希望であれば、最初にホワイトニングを行います。というのも、レジン充填をしたりセラミックを被せた後にホワイトニングをするとレジンやセラミックはホワイトニングで色が変わらないためにそこだけ浮いてしまうのです。
今回は、自然な仕上がりをご希望だったため、ホワイトニングはしてません。次の処置は茶色くなってしまったレジン充填を修復することです。
アップでこのレベルに仕上がれば、見た目ではまったく判りません。
左右合計3本のレジン充填をやり直してから、最後にご要望のセラミックを作りました。しかし、これがとても難しい。ここからは、技工士さんの仕事ですが、今回ばかりは本当に難しいと技工士さんがいっていました。
1回目の試適です。惜しい!!僅かに黄色みが濃く出てしまいました。
2回目で患者さんのOKを頂きました。ご覧のように治療の痕跡が判らないナチュラルな仕上がりとなりました。治療の前後を比べてみても僅かな違いかもしれませんが、僅かな違いだからこそ難しいのです。いわゆる玄人受けする治療というものですね。
治療のゴールは患者さんが決定するものです。特に審美については、患者さんが満足して頂けるレベルに仕上げることが最も重要です。今回の症例は、この患者さんにとって満足して頂けるものとなりました。しかし、別の患者さんであれば「もっと白くして欲しい」とか、「歯並びを奇麗にして欲しい」とかそれぞれのゴールがあると思います。
最も大切なことは、患者さんが納得して頂けるかどうかということだと考えています。
一見簡単そうに見えるケースですが、なかなかやりがいのあるケースでした。